【登壇レポート】Internet Week 2025 「トラスト&セーフティ最前線 — TikTok Japan・サイバーエージェントと考えるネットの安心安全」

一般社団法人トラスト&セーフティ協会(JTSA)は、11月25日、Internet Week 2025 にて「トラスト&セーフティ最前線 — TikTok Japan・サイバーエージェントと考えるネットの安心安全」と題したセッションに登壇しました。本登壇は、日本の主要な業界イベントにおいて、トラスト&セーフティ(Trust & Safety)を包括的に紹介し、業界横断で議論する初めての機会となりました。本レポートでは、当日のポイントと、そこから見えた共通テーマをお伝えします。

セッションの概要

本セッションは、急速に変化するオンライン環境のなかで、ネット上の安心・安全の確保において「トラスト&セーフティ(Trust & Safety)」というアプローチがどのように寄与しているかを共有し、会場の皆様と議論する場として開催されました。

登壇者は以下の 3 組で、JTSAだけでなくJTSAの会員企業である2社にもご登壇いただき、業界連携でのプレゼンテーションとなりました。

  • TikTok Japan
  • サイバーエージェント
  • 一般社団法人トラスト&セーフティ協会(JTSA)

トラスト&セーフティとは

セッションでは、まず JTSA よりセッションの基礎として、トラスト&セーフティ(Trust & Safety)の全体像を解説しました。

トラスト&セーフティは、

  • 誹謗中傷
  • 偽・誤情報
  • オンライン詐欺
  • 生成AIの悪用
  • ウェルビーイングの確保

など、オンライン環境のリスクに対し、ユーザー保護・ポリシー策定・対策実装などを通してサービス上の信頼性と安全性を高める実務領域を指します。

加えて、昨今オンライン上の課題が複雑化する中で、JTSAとして業界一体となって

  • T&S実務者同士の知見、ベストプラクティス共有
  • 日本国内、世界で起きる最新の不正トレンドの情報共有
  • T&S人材の育成
  • 業界連携や国際連携

等の取り組みを進め、日本、そして世界のデジタルエコシステムの健全化に貢献するビジョンを共有しました。

国際規格から見るトラスト&セーフティ

現在、T&S分野では国際的な標準化が進んでいます。DTSP(Digital Trust & Safety Partnership)が提唱する 「The Safe Framework」 は、T&S業務の基本的な枠組みとして ISO/IEC 25389:2025 として承認されました。

JTSAは、この規格を策定したDTSPとパートナーシップを締結しており、規格普及を通じた国内実務の底上げを目指す活動を行っています。

セッション内では、「The Safe Framework」で規定されているトラスト&セーフティ実務の5ステップ、ならびにサービス特性に応じたカスタマイズや評価の設計手法についてご紹介しました。

事業者から見るトラスト&セーフティ

続いて、JTSA会員企業である TikTok Japan、サイバーエージェントから、各社が日々実践するトラスト&セーフティ領域での最前線の取り組みが共有されました。

(1)TikTok Japan:大規模グローバルプラットフォームが取り組む多層的な安心・安全対策

TikTok Japan からは、大規模グローバルプラットフォームにおけるポリシー策定・透明性・各地域の文化的文脈を踏まえた安心・安全対策について共有されました。

発表の中で示されたポイントとしては以下のようなものがあり、世界中で多くのユーザーに安心、安全にサービスを利用してもらうための多面的な取り組みが共有されました。

  • グローバル基準と各国社会規範への対応の両立
  • ガイドラインの公開と透明性レポート等を通した信頼性の確保
  • 選挙等の重要なイベント時や震災等の緊急時における信頼できる情報の提示といった表示上の工夫
  • 生成AIを含む新しいリスクへのルール整備と導入

特に、AIやグローバルなT&Sオペレーション体制による広範な検知や対策と、人による文化・文脈理解に基づく判断を組み合わせた複層的な仕組みを構築する重要性をご紹介いただきました。

(2)サイバーエージェント:国内最大級のブログ・コミュニティを守る運用体制の整備

サイバーエージェントからは、誹謗中傷の高度化、複雑化に対して、心理的支援・ポリシー整備・AIを活用したモニタリングなど、多面的なアプローチを統合した運用体制が共有されました。

発表の中で示されたポイントは以下の通りです。

  • ネット上の攻撃方法の変化に対応する、リサーチに基づいた専門チーム体制の構築
  • ポリシー整備・モニタリング・心理的支援など総合的アプローチ
  • AI を活用したモニタリングの高度化
  • 透明性の高い情報発信(スタッフブログ・レポート等)
  • 安心して創作活動ができる環境づくりへの取り組み

データ分析をもとに誹謗中傷対策の専門チームを立ち上げ、ユーザー保護で大きな成果を上げるまでのプロセスは、企業内でのトラスト&セーフティ業務の立ち上げのベストプラクティスとして非常に参考になる内容でした。

セッションを通じて見えた共通テーマ

参加者との質疑応答では、多くの質問が寄せられ活発な議論が行われました。

詐欺対策に取り組まれている組織の方からは具体的な詐欺のシグナル検知について問いかけがあり、他の参加者からはプラットフォームの自主取り組みと規制のあり方の国際比較について質問がありました。

議論を通じて浮かび上がったのは、トラスト&セーフティは一社だけでは完結し得ない領域であり、業界全体で知見を持ち寄り、相互に学びながら改善していくことが不可欠だという共通認識でした。

今回の登壇はそうした多様な立場から知見を持ち寄る「対話」の第一歩として貴重な機会となりました。

まとめ

Internet Week 2025 のセッションは、T&Sがデジタルエコシステムを守る基盤として重要性を増していることを再確認する場となりました。今後も JTSAは、国内外の実務者・組織とともに、安心・安全なデジタルエコシステムの形成に向けた活動を続けてまいります。

JTSAでは、同じ課題意識を持つ企業・実務者の皆さまの参加を歓迎しています。共に学び、共に課題を解決しながら、日本のトラスト&セーフティを前進させていきましょう。

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